脳みそのささやき

Cyberkinetics Neurotechnology Systems, Inc. という会社がある。この会社は最近BrainGate? Neural Interface Systemというシステムを開発/発表した。このシステムは現在マサチューセッツ総合病院のレイ・ホッホバーグ医師(Leigh Hochberg, M.D., Ph.D.)をはじめとするいくつかの主要な病院にて臨床試験中だという。

このシステムを一言でいうなら、ニューロン間を信号を受信し、解析し、転送するためのプラットフォームだそうだ。このシステムは脳内に埋め込む50個ほどのセンサーとそれらのセンサーからの信号を解析するコンピューターシステムからなるそうだ。

このシステムを利用することにより、被験者は「思う」だけでコンピュータの画面上のカーソルを移動させたりロボットアームを動かすことができるようになるそうだ。

現在の所このシステムの信号のやり取りは脳からシステムへの一方通行で、例えばロボットアームにセンサーを付けて、そのからの信号を脳に送り返すといったことは出来ない。また現在の所、脳内のセンサーとコンピュータ間の通信は有線で行われており、コンピュータもカートに乗せられた状態で、かなり大掛かりなものだという。

ゆくゆくはセンサーと解析用のコンピュータ間の通信を無線化し、またコンピュータ自体も小型化することで、取り扱いを簡単にしてゆく方向だそうだ。

またセンサーも一度埋め込んだら二度と取り出す必要がない耐久性と体との親和性を高める必要があり、課題は山積みなのだが、それでも脳神経学の応用分野での大きな進展といえるだろう。

なぜ脳に直接センサーを付ける必要があるかというと、頭蓋の外から脳内の活動を観察するのは、ちょうど野球の試合を隣のビルから見ているようなもので、球場の興奮は伝わってきても、観客一人一人の会話を聞くことはできないのと同じで、要するに細かい動きが追えないそうだ。ところが多数のセンサーを直接脳に据えることで、言わば観客一人一人の声が聞こえるようになるのだそうだ。そういうことが可能になって初めて「思っただけ」で操作することが可能になるのだそうだ。

将来コンピュータと人間が融合してしまうような、SFのような日が実際に来るのかもしれない。そしてそれは思っているほど遠くないのかもしれないのだ。