「好き」を育てる

前回、「Web 進化論」の梅田氏のブログからの一文を引用させて頂いたが、氏はこの所「好きを貫く」というテーマで回数を重ねて書いている。非常に興味深いので興味のある方は是非読んでみたらいかがでしょうか。

氏の主張することには大いに共感できるものの、「好きを貫く」ことが出来るのは、例えば野球の野茂や松坂、イチローのように、やはり極一握りの幸運な人たちの物語であるかと思う。多くの人は好きを貫きたくてもセイフティネットのない日本社会ではチャレンジすることもおぼつかず、嫌々ながら、日々の糧を稼ぐために安定した会社に通っているのが実態であろう。

それどころかそれ以前に、そもそもどうやって「好き」なことを見つけ、育てていくのかよくわからない、というのが世の中の大半ではないだろうか?

ではどうやって「好き」を見つけるのだろうか?多分それは少年の頃好きだったお絵描きや工作でも、お料理でもいいわけだし、あるいは学生時代に夢中になったスポーツや割と得意だった教科や習い事でもいいのではないかと思う。だれにもこうしたことはひとつやふたつあるだろう。

これらの「きっかけ」に上手に水をやり、お陽様を当ててやれば、それらは自分の中で「好き」に育って行くと思う。そして育った「好き」は太い幹となって、たとえ直接金にならなくても自分の人生をかなり豊かに彩ってくれると思う。

ではどうやったら具体的に芽を出せるんだろうか?自分のことと照らし合わせてちょっと考えてみた。

  • やりすぎない

部活などは典型的な例だが、一時にあまりにもやることでイヤになってしまったり、楽しかったはずのことが苦しくなって放り出してしまうことも多い。水のやりすぎて根腐れしているようなものである。「ああ、もう少しやりたい」と思うぐらいで止めるぐらいが「好き」を育てるコツであろう。そのうちに1日8時間やってもまだやりたいと思うような「好き」が育ったりするのだ。

  • しつこく、時間をかける

まだ土の中に埋もれた種も、時間をかけないとそもそも芽を出さないのだ。「好き、嫌い」、あるいは「向き、不向き」の結論をすぐに出さず、自分の中で能力が成長するのを待つ、という態度が必要だろう。毎日練習、あるいは勉強し、それが確かな枝葉を生やすのを時間をかけて待ってみるのだ。

  • よい師を見つける

本当によい指導者をいうのはあまりいないが、時間をかけて師を探すことも極めて賢明な方法だと思う。よい指導者というのはたとえ短時間の教授でも確実に自分の中の芽を育ててくれるものだ。

  • 同好の友を持つ

同好の友を持ち、適度に競い合い、技を盗み合うというのは「好き」を育てる上で極めて重要なステップであると思う。また自分のレベルの向上に合わせて、仲間を変えて行く必要もあるだろう。つまりは常に適度な刺激を得るのである。またおかしな自己満足に陥らないためにも同好の友やライバルは欠かせない存在であろう。

  • 創意工夫する

ああでもない、こうでもない、と考え創意工夫を重ねるとこでヒョイと次のレベルに行けることがまま、ある。

  • 感覚、直感を大切にする

「好き」は誰かに押し付けられるものではないし、また成功の形、のようなものにとらわれる必要もない。自分にとってしっくりと来る感じを大切にすることで多くを学ぶことが出来ると思う。またああでもない、こうでもないと創意工夫を重ねるうちに「そうだ!これだ!」という感覚が得られるものだ。頭で考えていては大切なことな掴めない、ということを知っておく必要がある。

  • 「好き」をひとつに絞らない

多くの人は「好き」をひとつに絞れるほど「これだ!」というものがないのではないかと思う。自分もそうだった。そんな時は結論を急がず、複数のことを同時進行で育てて行けばよいのだと思う。

こんな感じで「好き」を育てて行けば、壮年に達する頃には、多趣味で面白い人生が拓けるのではないかと思う。